メンバーが上司とうまく連携するための『ボスマネジメント』

メンバーが上司とうまく連携するための『ボスマネジメント』

この記事では、メンバーが上司とうまく協調するために重要になる『ボスマネジメント』について解説します。
Clock Icon2024.12.04

こんにちは。人事グループ・組織開発室に所属し、組織開発を担当しているてぃーびーです。

マネージャーがメンバーに対してピープルマネジメントをする話はよくありますが、メンバーがマネージャーとうまくやっていくためのマネジメントが語られることは比較的少なめです。この記事では、メンバーが上司とうまく協調するために重要になる『ボスマネジメント』について解説します。

ボスマネジメントとは

ボスマネジメントとは、部下が上司との関係を効果的に構築し、上司の目標や期待を理解し、信頼を得ながら、業務やキャリアを前向きに進めるスキルや行動を指します。

ボスマネジメントはメンバーからみた上司の場合もあれば、中間層のマネージャーから見た上司の場合もあります。中間層のマネージャーによるボスマネジメントは、一般的なメンバー層以上に重要と考えられます。中間層のボスは、組織全体の成果に大きな影響を与える役割を担っており、上位のボス(経営層や部門長)との関係性が組織運営やチーム成果に直接的に影響するためです。

ボスマネジメントの主な要素は次のとおりです。

  1. 上司の理解
  2. 情報の提供
  3. 自己の伝達
  4. 信頼の構築

1. 上司の理解

上司の目標、価値観、行動スタイル、優先事項、意思決定のプロセスを理解するようにします。

上司の意図を正確に把握することで、自分の行動を上司の期待に沿った形で調整できます。上司のストレスや課題を理解し、適切なサポートを提供することで、チームの成果に貢献しつつ、上司から重宝される存在になります。

上司の理解の例 内容の例
目標や優先事項の把握 上司が今期の最重要プロジェクトやKPIに注力していることを把握し、自分の業務をその目標に沿う形で進める
コミュニケーションスタイルの理解 上司が簡潔な報告を好むのか、詳細な説明を求めるのかを把握し、それに合わせて情報を伝える
意思決定プロセスの理解 上司が現在抱えているプレッシャーや課題(例:部門間の調整や予算不足)を認識し、サポートできる部分を探す
ストレスや課題の理解 上司が慎重にデータを基に意思決定をするタイプなのか、直感的で迅速な判断を好むタイプなのかを理解したうえで、それぞれに合った提案の仕方を工夫する
評価基準の理解 上司が重視している成果(例:短期的な業績改善、チームの協調性、イノベーション)を把握し、それに合った成果をアピールする

2. 情報の提供

上司が意思決定をするために必要な情報を適切なタイミングで提供するようにします。

上司が正確でタイムリーな情報を得ることで、より良い意思決定ができるようになります。必要な情報を伝えることで、上司の信頼を得やすくなります。

情報の提供の例 内容の例
業務進捗の定期報告 プロジェクトの進捗状況や成果、問題点を上司に簡潔に報告する
リスクや課題の事前共有 プロジェクトの遅延や予算超過などのリスクを早めに報告し、解決策の検討を提案する
市場や業界のトレンド情報の提供 業界の最新動向や競合他社の動きなど、上司が戦略的な判断を下す際に役立つ情報を共有する
現場の声やチーム状況の共有 チームメンバーの課題やモチベーションの状態を正確に伝える
具体的な提案や代替案の提示 プロジェクトで採用する方法について、複数の選択肢を提示し、それぞれのメリットとリスクを説明する

3. 自己の伝達

自分の意図、価値観、キャリア志向などを上司にわかりやすく伝えるようにします。

上司に自分の考えや立場を正確に伝えることで、具体的なサポートや実現可能なアドバイスを得やすくなります。誤解を防ぎ、上司との意思疎通をスムーズにしやすくなります。

4. 信頼の構築

誠実で一貫性のある行動を日々積み重ねることで、上司との信頼関係を深めていきます。

信頼関係があると、上司から重要な業務を任されたり、意見が尊重されたりしやすくなります。信頼関係は長期的な協力関係の基盤となります。

信頼の構築の例 内容の例
約束を守る 提出期限を厳守し、上司に正確で高品質な成果物を提供する
ミスの報告と改善策の提示 自分のミスを素直に認め、原因と改善策を具体的に報告する
正確でタイムリーな情報提供 重要なプロジェクトの進捗やリスクについて、タイムリーに正確な情報を共有する
主体的な取り組み 上司に指示される前に、自発的に問題を発見し、解決策を提案する
上司の目標や優先事項への貢献 上司が重要視しているプロジェクトをサポートし、成果を出す

補足

人によっては「なぜメンバーがマネージャーに対してここまでしなければならないのか?」と感じるかもしれません。一方で、長く仕事をしていれば、優秀で相性のいいマネージャーと仕事できることもあれば、ビギナーのマネージャー・バランスの悪いマネージャー・相性の悪いマネージャーと仕事をすることもあります。そして、自分を含むチームの成功にとってマネージャーとの良好な協力関係が欠かせません。また、マネージャーを助けることはこの記事( 縦と横の越境業務 | DevelopersIO )でいうところの縦の越境業務にもなります。

さらに、将来マネージャーをするにしても技術リーダーをするにしても重要な仕事を担当するようになればなるほど、ステークホルダーとの協力関係が重要になります。ボスマネジメントの要素はステークホルダーとの連携にも通じる内容であり、仕事をする人として一生使える有用なスキルになります。

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